相続税の仕組み
自宅の評価って?小規模宅地等の特例
小規模宅地等の特例の適用基準が厳しくなりました
相続に関する節税効果として、最も手軽で効果が大きいのが 小規模宅地等の特例です。この特例は、自宅の土地や自分が経営する会社、工場の土地、アパートや駐車場経営などを行っている土地について、相続税評価額を50%減額、又は80%減額できるという制度です。(土地の種類により、200㎡、240㎡、400㎡までが対象となります。)
もし、自宅の土地に80%の減額が適用されれば、大半の人は相続税がかからなくなるだけに、とても魅力的な制度です。
ただし、2010年度からは、この優遇措置が適用されるハードルが格段に高くなります!!
| 相続する土地 | 相続する人 | 土地の相続税評価 | 上限面積 | |
|---|---|---|---|---|
| 2009年度 まで |
2010年度から | |||
| 自宅の土地 |
☆ 配偶者 ☆ 持ち家がない別居の親族 (申告期限まで保有) ☆ 同居、または生計を一の親族 (申告期限まで保有、居住) |
80%減 | 80%減 | 240㎡ |
| ☆以外の人 【例】 持ち家があり、生計を別にする子など |
50%減 | 減額なし(※1) | 240㎡ | |
| ☆以外の人だが、 共同相続人に☆に該当する人がいる |
80%減 | 減額なし(※2) | 240㎡ | |
| 自宅兼その他用途の土地 【例】自宅の一部をアパートとして賃貸しているなど |
☆に該当する人 | 全宅地 80%減 |
自宅部分の土地→80%減 その他用途部分の土地は条件ごとに判断する |
ケースにより 変化 |
| 会社、工場の土地 |
◇ 親族 (申告期限まで保有、事業引継ぎ) |
80%減 | 80%減 | 400㎡ |
| ◇以外の人 | 50%減 | 減額なし | 200㎡ | |
| ◇以外の人だが、 共同相続人に◇に該当する人がいる |
80%減 | 減額なし | 400㎡ | |
| アパート、駐車場の土地、 | ◇に該当する人 | 50%減 | 50%減 | 200㎡ |
| ◇以外の人 | 50%減 | 減額なし | 200㎡ | |
■ ここがポイント
適用基準の厳格化によって、最も影響が大きいケースは、上の表の(※1)と(※2)の部分でしょう。
まず、(※1)ですが、母親が実家に1人で住んでいて、子どもが自宅をもって別居していたケースを想定してください。
母親が亡くなった場合、子どもは母親が住んでいた土地・建物を相続しますよね。
09年度までは、子どもはたとえ別居して、持ち家があったとしても、相続する土地の評価を50%まで減額することができました。しかし、今後は、この減額が出来なくなります。
次に、(※2)ですが、今までは、相続人のうちの誰かが80%減の適用を受けられる場合には、他の相続人も「棚からぼた餅」的に80%減の適用が受けられました。しかし、今後は、適用の可否は相続人ごとに判断されることになります。
誰が相続するかによって、求められる条件が違ってくる
小規模宅地等の特例は、適用されれば、相続税が格段に安くなるか、発生しなくなるので、ご自分の場合は、使えるかどうかを是非確かめていただきたいと思います。まず、配偶者が自宅の土地、建物を相続する場合は、無条件でこの特例が認められます。
一方、同居していた子どもが相続する場合は、被相続人の死亡翌日から10ヵ月後の相続税の申告期限まで継続して住み続けることが条件となります。それ以前に、引っ越したり、売却すると、自宅以外の財産を相続したものとみなされて、この特例が適用されなくなりますので、ご注意下さい。
被相続人と同居していなくても、被相続人と生計を一つにする親族は、申告期限まで所有していれば、特例が認められる場合もあります。
また、被相続人に配偶者も同居していた親族もいない場合、持ち家がない別居親族(相続開始前3年以内に持ち家を所有していないことが条件)が取得し、申告期限まで所有していれば特例の適用が受けられます。
家を持たない子どもには救済措置がある
では、被相続人の土地に居住していなかった子ども(※1)が宅地を相続する場合はどうなるでしょうか?この場合、子どもが別に自宅を持っていたり、子どもの配偶者名義の自宅を持っていたりすると特例は認められません。
しかし、持ち家がなく、アパートやマンションなど賃貸受託に住んでいる場合は特例が受けられます。
持ち家がある場合でも、売却するか賃貸住宅として貸し出し、いわゆる「家なき子」になれば、同様の減額が受けられます。
ただし、その場合でも、
| (1) | 自宅の売却(貸し出し)から3年が経過していること | (2) | 相続後は申告期限まで相続物件を所有すること |
|---|
いずれの場合にしても、核家族化の進んだ現代では、簡単に同居したり、生計を一にするということも難しいでしょうから、早めに相続税対策を立てておくことが、ますます重要になってくると思います。
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司法書士 西川浩介

